《明日のリユースを創る!》今、明暗を分けるのは「販売力」

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《明日のリユースを創る!》今、明暗を分けるのは「販売力」

2019年06月19日

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明日のリユースを創る!
実践マーケティング講座

~第9回「リユース企業が押さえるべき数字・KPI管理」~

令和に入り、リユース業界は改めて大転換期を迎えています。5月20日に「2018年度のリサイクルショップの倒産件数が過去最高の30件を超えた」という内容が帝国データバンクより発表されました。このニュースはYahoo!のトップにも掲載され、2000件近いコメントが投稿されています。

リユースという業態への高い関心が覗えるとともに、コメントの中身を見てみると、リユースショップに対するユーザーのイメージが読み取れます。「専門性が低い」「買取金額が安い」「接客・態度が悪い」など、悪いイメージが先行しているようです。冒頭に「大転換期」と書きましたが、ビジネスモデル(PL構造)を変化させないと生き残っていけないというのが正しいのではないかと思います。

※参考:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190520-00010000-teikokudb-ind

ライフサイクルが進むについて、リユース業におけるKPI(重要業績評価指標)は変化しています。成長期は「買取力」が求められ、いかに新規の顧客を増やし、在庫を積むかが重視されました。そして成熟期に入ってくると求められたのは「効率化」です。人時品出売価量や、人時粗利、坪売上坪粗利などが重視されました。

もちろんこれらの指標が重視されなくなったわけではありませんが、衰退期に突入しているいま、差を分けるのは「販売力」です。販売力は、店舗とネットそれぞれで「高くそして早く売る力」という2つの側面があります。店頭販売でいうと、どれだけ会員顧客を持っているかがとても重要です。やはり、あのお客さんに売ろうと思って、買い取りするのが在庫リスクもなく、買取金額も高く出すことができるので理想の形です。そこにネット販売を加え、複数のモールへの同時出品を行います。いまの総合リサイクルショップの年間平均回転率2〜3回転から、5〜6回転程度に引き上げることで、より高く買い取ることが出来、お客さまのリピート率を上げることが出来ます。高く売れるから高く買い取れる、高く買い取れるからお客さんがつき、買取が増えるという正のサイクルに持ってくことが重要なのです。

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Yahoo!のコメント欄で見られたリユースショップへの不満も「販売力」を上げることで対策が可能です。回転率が上がることで、買取金額の答え合わせのスピードが上がり、より精度が高い買取が出来るのです。ただし、すべてを人間の力でやるのは難しいでしょう。過去の販売履歴を元にした買取金額の精度向上、鮮度管理の徹底による回転率の向上などは、最新のPOSシステムの力で一気にハードルを下げることが可能です。

デジタルシフトは、システム化するためではありません。顧客満足や従業員の働きやすさのために、ベストなソリューションを探してみましょう。その結果が、時流にあったリユースショップのアップデートに繋がるはずです。


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佐藤 秀平

元船井総合研究所経営コンサルタント。コンサルタントと経営者という2つの立場で、小売・EC業界に8年以上携わり、リユース事業・輸出輸入事業・OEM販売事業などを行い、ゼロから年商4億円の事業に成長させた経験を持つ。マーケティング全般とEC販売戦略を得意とし、自身もリユース業向けのシステム開発を手がける、株式会社NOVASTOの代表取締役を務め、業界の最先端のノウハウを追い求めている。現在コンサルティングのクライアントは、総合リユースショップ・買取専門店・中古工具専門店・ネット型リユースなど多岐にわたる。

第465号(2019/06/10発行)11面

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