《トップINTER VIEW》ゲオホールディングス 遠藤 結蔵社長、直営初 中古売上で1,000億円

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《トップINTER VIEW》ゲオホールディングス 遠藤 結蔵社長、直営初 中古売上で1,000億円

2019年08月01日

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ブランドに強い"セカスト"100店あっていい

9 - コピー.JPG▲ゲオホールディングス 遠藤 結蔵社長

国内中古市場で初めて、直営で中古売上1,000億円に達したゲオホールディングス(愛知県名古屋市)。今期首にはおお蔵を買収したことが話題を呼んだ。今後は中古ブランド領域に注力するほか、新規・既存フォーマット含め店舗開発にも意欲的だ。遠藤結蔵社長に国内成長の余地や戦略を聞いた。

--国内中古市場で初めて、直営で売上1,000億円に達しました。

遠藤 当然そこは超えていかなきゃいけない通過点でした。当社でやっているパッケージソフトのリユースと、衣服をはじめとした総合商材のリユースを組み合わせての1,000億円です。伸び率で言えば、やはりセカンドストリートの屋号でやっている後者のリユース。こちらで積んでいったイメージですね。

--セカンドストリートは、2023年までに800店の構想だと。

遠藤 はい。今は600店そこそこで、人口10万人に1店は出せている。もっと小さな商圏、具体的には5万人に1店出していきたい。自分たちの空白地は首都圏や関西にまだまだあります。当社の場合リストラ物件に出店をしていくものですから、特に都心の場合は空きづらいというのと、家賃の面で問題はあります。

--御社の中古事業は、どこまでスケールできますか。

遠藤 正直今言えるのは、やりたい領域の方が遥かに大きいということ。今はゲームや服はそこそこ強いというレベルだが、例えばブランド品もやらなきゃとか、楽器もやってみようとかなっている状況。まだまだ家電は弱いし、スポーツ用品も弱いですから、逆に言えばまだ1,000億円しかないという状況には反省です。

中古ブランドの専門業態も作る

--今ブランド品の話もありました。御社ではおお蔵を買収しましたね。

遠藤 本当にブランド品は手薄でした。今まではセカンドストリートにたまたま持ち込んで頂いたものを、たまたま買わせて頂いているようなイメージだった。それでも前期には、強化ブランドを決めたりして、対象ブランドには何%買取額をアップするとかしたんです。一番売れていくのは1,000円、2,000円、6,000円くらいの価格帯でしょうか。ただそれだけではパイが限られるので、もっと上位層のところも獲るために、見直していきたいわけです。

--ブランド品はどんな業態で売っていきますか。

遠藤 2つあります。1つはブランド品を専門に扱う業態。もう1つは既存のセカンドストリートにですね。23年に800店にしていく中で、うち100店はブランド品に強い店があってもいい。

当社にはパッケージソフトのリユースを扱うゲオショップが1,050店ある中で、中古ケータイの商材をそこに持ち込んだ経験があります。そこからゲオモバイルというケータイの専門業態を作って増やし、シェアを獲れた実績がある。ブランド品も、そのフォーマットで進めていきたいです。

--専門店の屋号は決まっているんですか。

遠藤 今社内で話しているところです。例えばセカンドストリート○○だと、やはり既に手頃な服を売り買いするイメージがついているのでインパクトが弱いかなと。他にもおお蔵byセカンドストリートとか、色々議論はしています。

課題は店数とオンライン対策

--中古市場の景況感、どう感じていますか。

遠藤 どんな新品マーケットにも、その2割は中古の可能性があると思っています。シュリンクもあるので最低1割のマーケットはあるとして、当社がどこの1割を獲りにいくか。こうなりますよね。

世の中の中古への抵抗感がなくなってきている中、それを加速したのがCtoCなのは間違いない。それでもお客様はしっかり使い分けていると思います。1個ずつネットにアップして売るのか、もしくはバルクで店に送ってしまうか、店に持ち込むか。すると当社のリユースの課題で言えば、やはり店数が600しかないんだというところに尽きる。十分お客様の近くに出せてはおらず、そこを補完するためのオンライン対策がまだ十分ではないんです。

--いわゆるEC販売のところ。

遠藤 はい。EC販売でもいいですし、EC取り寄せでもいい。オフラインとオンラインをどう繋ぎこむかですね。それこそ先日、中古楽器の専門店を世田谷に出店しました。この業態になるとどこのお客様の近くにも出すってことは出来ないんですよね。するともう、オンラインしかない。それで商品を発送するとして、お客様の最寄りのセカンドストリートに取り寄せてあげて、オムニチャネル化するなど。あとは通常のセカンドストリートだと、店頭在庫をオンラインでも売ったりしていますが、もっと商材幅を広げてみるとか、深掘りしてみるとかしなきゃいけない。するとやはり、買取りするにももっと店が必要なんです。

「中古がいい」は僅か 新古品にも挑戦

--御社がリユース最大手との認識、一般の消費者から見て、どうでしょう。

遠藤 あまりまだ広まっていないと思いますね。セカンドストリートをゲオがやっていると思っている方って少ないでしょう。セカンドストリートのTVCMを打ち出したのが4年くらい前からでしょうか。当時はまだ300〜400店くらいでした。500店を超えると認知度が1つ上がるなという実感が、過去のゲオショップの経験であります。それこそ、今掲げている800店構想というのは、さらにもう1段上の認知度にまでもっていきたいということですから。それよりも、各商材に応じて当社の様々な屋号を連想してくれればと思っています。

--そういえば、「ラック・ラッククリアランスマーケット」の屋号で、衣料メーカーなどから買い取った新品余剰在庫品を販売する新しい業態も出された。

遠藤 先ほど新品市場の2割はあると申し上げたが、その2割のユーザーというのは中古だから欲しいのか、それとも中古でもいいから欲しいのかに関わってくることだと思っています。中古だからというのは正直わずかだと思っていて、やはり多くはこの値ごろ感ならいいねと言って、どこかで折り合いをつけて中古品を買ってくださっている。それはありがたいことなんですが、もし新品で、それがワンシーズン前のものがあるとしたら、どっちを選んでくれるのだろうかと。中古市場の縮小が起こったとき、こっちで補えるのではという思いがあります。

--改めて最後に、今後の強化ポイントは。

遠藤 とにかく店数を増やすこと。セカンドストリートを600店に増やしたことで、中古売上1,000億円まで来ましたから、800店になった頃にはそれに応じて中古売上が伸ばせるということです。あとはオフラインだろうがオンラインだろうが、客数と来店頻度、客単価を上げていく施策を重ねていきます。


会社データ
社名:株式会社ゲオホールディングス
設立:1989年1月
本社:愛知県名古屋市中区富士見町8番8号OMCビル
資本金:89億4,400万円
従業員数:4,390名(グループ全体)
店舗:1,878店(グループ全体)
売上高:2,925億6,000万円(2019年3月期連結)
中古売上:1,066億6,600万円(2019年3月期)
         (うち、メディア系リユース541億7,300万円、
          リユース系リユース524億9,300万円)

●社長プロフィール
遠藤結蔵。1978年1月21日生まれ(41歳)。2000年11月に株式会社ゲオ(現当社)入社。その後、2004年6月に同取締役社長室副室長、2011年11月に同代表取締役社長、2013年4月に同代表取締役社長兼執行役員を歴任。2019年4月より同代表取締役社長執行役員(現任)

第468号(2019/07/25発行)9面

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