【50行ストーリー】マニアのために探したペコちゃんの「赤い靴」

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「リサイクル店で起きるお話 50行ストーリー」

【50行ストーリー】マニアのために探したペコちゃんの「赤い靴」

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リサイクル店で起きるお話 50行ストーリー

昭和堂

昭和堂(神奈川県横浜市)は「不二家のペコちゃんグッズ」をはじめ、昭和のなつかしいおもちゃや人形、企業もののキャラクターなどを販売するアンティークショップだ。

ペコちゃんは1950年に不二家の菓子「ミルキー」のキャラクターとして登場した架空の少女だ。

小さい子供から男性女性に幅広い愛好家が多く、同店にも5年以上、月に1度、電車に乗ってやってくる50〜60代の女性マニアがいる。

その女性はいつもペコちゃんの赤いバッグを斜めにかけ、雨の日はペコちゃんの傘をさし、楽しそうにステップを踏みながら店に入ってくると言う。

ある時、10万円以上する背丈110センチの店頭販促用の人形を買い求めたが、その人形にはペコちゃんが履く赤い靴がなく、裸足だった。

靴が欲しいという女性に、高梨賢司店主は「探しておきますよ」と約束し、何とか手を尽くして入手しておいた。ところが、翌月その女性が来店したとき店主は不在で、女性は落胆して帰って行った。

「手渡せたのは2ヵ月後でしたが、靴を目にした時のお客様の目の輝きは忘れることができません。熱心なペコちゃんファンのためにも、手元に不用なペコちゃんがある方は、ぜひ当店に売却していただきたいと思います」(高梨店主)。

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335号(2014/01/10発行)14面

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