上質な革製品で知られる土屋鞄製造所(東京都足立区)は、2021年秋に新たな試みとしてリユースを開始した。長年愛用された製品を同社が引き取り、職人の手で修復したうえで再び販売する。単なる中古品の販売とは一線を画すこの取り組みは、同社の「時を超えて愛される価値をつくる」という理念を体現するものだ。
回収した自社製品
リユース開始の背景について、CRAFTCRAFTS部 部長の笹田知裕氏は「長く使える製品をお届けしてきた私たちだからこそ、お客様が手放すときも責任を持ちたいという思いがありました」と語る。
同社はリユースを始める前から長きに渡って自社製品のメンテナンスを施していたことから、そのスキルを活用し、リユースにも裾野を広げた。
買取りではなく引き取り
感情的価値を重視
同社のリユースにおいて、大きな特徴は、「買取り」ではなく「引き取り」というスタイルを採用している点にある。製品の状態を金額で査定して買い取るのではなく、感謝の気持ちとして次回購入時に使用できる10%OFFのクーポンを提供する。
第609号(2025/06/10発行)17面