《皮革製品修復ラボ(26)》メンテ後販売でも1万6900円利益に

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《皮革製品修復ラボ(26)》メンテ後販売でも1万6900円利益に

2015年02月10日

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皮革製品 修復ラボLesson.26 中古の靴は売れる

手間とコスト・採算ラインはどこ?

買い取った靴をそのまま販売するのではなく、メンテナンスして付加価値を上げれば売り場もキレイになり、商品も売れる。しかし、手間とコストをどこまでかけるべきか。採算ラインはどこになるのか。それが実感として分かりづらいかもしれない。

今回は、お客さんが「捨ててしまってください」と言ってきたフランチェスコベニーニョforバーニーズニューヨークを再生してみたので、実例として見てもらおうと思う。

中古靴メンテ

右側がbeforeだ。メンテナンス前は、キズや日焼けによる色あせがあり、履き口もくずれている。質感も乾燥していて、カサカサ。いかにも栄養不足だ。このままでは売り場に並べることはできないだろう。

しかし左側のafterを見てみてほしい。当社で水洗いしてトリートメント。キズ、汚れを補修して仕上げた。乾燥する時に、オゾン除菌消臭も行っている。履き口の湾曲も、テンションをかけながら乾かしたのでしっかり戻っている。これなら、リサイクルショップで販売すればおそらく中古の靴として1万8000円程度で売れるのではないかと思う。

どのくらいの手間をかけたかというと、作業時間は乾燥時間を除き45分~1時間ほど。当店の場合なら、これを消費者から4000~8000円で受けている。

自店舗でメンテナンス技術を習得した場合なら、仮に時給1000円のPAさんが手掛けた場合、再生のコストは1000円弱ということになるだろう。

ちなみに、この靴は捨ててと言われたので原価は0円だが、状態がボロボロであればこのように0円引き取りや、100円買取りも可能かもしれない。

では、原価100円だとして考えてみよう。当店のような専門店にアウトソースした場合なら、売上1万8000円から原価(100円)、メンテ料金(4000円~8000円)を差し引くと1万3900円~9900円の利益になる。自社でメンテナンスした場合は、メンテ料金が1000円になるので、差し引き利益は1万6900円ということになる。

ボロボロの靴が持ち込まれた時に買い取りを断れば、もちろん売上げはゼロ。しかもお客さんには断られたという印象が残る。かといってボロボロのまま販売すれば、なかなか売れず滞留するばかりか、売り場全体のレベルも下がってしまう。しかしメンテナンスして売れば、利益を生む商品になるのだ。

最近は、ピカピカの中古靴をセンス良く販売している店も少し増えてきた。もっとこんな店が増えれば、靴の中古流通が活発になると思う。もちろんバッグ、革小物、レザーウェアも同様であるが靴が一番豹変するかもしれない。

川口 明人氏≪筆者 Profile≫ 川口 明人氏

1960年、神奈川県生まれ。根っからの靴、バッグ好き。大学卒業後ヨーロッパに渡りフランスのシューズブランドに就職。帰国後は婦人靴ブランドのマネージャー、ブランドバッグ販売責任者、婦人靴メーカー商品企画・製造責任者などを歴任。皮革製品修復の「美靴工房」立ち上げに参画。現在は同社の専務取締役として女性修復師チームを率い数多くのメゾンブランドから指名を受ける。メディアにも度々取上げられており、質店・ブランドリサイクル店にとっては駆け込み寺的存在。

361号(2015/02/10発行)5面

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