《直撃!UDF vol.1》他業界とも協力し偽造品を排除

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《直撃!UDF vol.1》他業界とも協力し偽造品を排除

2018年11月03日

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ブランド権利者の知的財産権保護に取り組む国際的な団体のユニオン・デ・ファブリカン(UDF)。ECやフリマアプリなどのインターネット市場の発展で、侵害品が一般消費者の目に触れる機会も増え、その存在感が増してきている。事務理事、事務局長兼ADRセンター長の堤隆幸氏に聞いた内容を4回に分けてお届けする。第一回はUDFという組織の由来と活動についてだ。

他業界とも協力し偽造品排除 
日本の取り組みは[「先進的」

UDFは元々フランスで創設された知的財 産保護を目的とする、ブランド権利者の団体。市場調査を行い知的財産権侵害行為、特に偽造品の存在確認、税関・警察への対応依頼、ネット上での侵害品出品の発信情報の停止措置依頼の伝達、消費者への啓発活動、規制改正を求めるなどのロビイング活動なども行う。


90ブランド程度が加盟しており、主要なブランドのほとんどが入っている。堤氏は「当時(UDF東京事務所設置前)、日本は「偽造品天国」と呼ばれ国外、特に著名ブランドが多く存在するフランスはこれを問題視していた」と語る。ブランドホルダーが相談しても、「私企業であるブランド権利者の商売・利益のために公的機関が動くのは ...」という考えもあったのか、動きは鈍かったという。


現在では、UDFの職員が市場調査、もしくはインターネットを巡回して発見した侵害品について警察に相談することも、特別なことではなくなってきているという。そのほかにも昨年一年のC2C市場だけで100万件以上の権利者からの発信情報の停止措置を伝達した。同団体では現在、個人利用目的の偽造品と承知での輸入を禁止する規制を求めている。

しかし、個人による偽造品購入の規制を商標法でおこなうことは、同法の目的とは異なるなどの反論もある。堤氏は「流入を止めるためには必要な規制の一つであるし、同法の改正にこだわっているわけではない」と主張する。このような対処なしでは、個人利用目的との理由で輸入された偽造品が中古市場に流れたり、インターネットで販売されたりするのを止められないとの考えだ。



このような課題も残る日本市場だが、「日本は、偽造品対策について海外と比較すると先進的」と堤氏は評価する。国外では、インターネット・プラットフォーマーと係争となり裁判になり時間を浪費するケースも多い。一方、日本では、インターメット事業者は勿論のこと、リユース、並行輸入などの業界団体などとの話し合いなどが活発であることを強調する。同団体は、リユースと並行輸入業者団体のAACD(日本流通自主管理協会)や質屋のTAF(全国質屋ブランド品協会)などとも可能な範囲で協力し、偽ブランド品排除を目指している。

9右.JPG▲事務理事 事務局長兼 ADRセンター長 堤隆幸氏

第450号(2018/010/25発行)10面

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