《トップINTER VIEW》Rafa Eevent 吉岡拓哉社長、野球用品買取「ピンチヒッター」を運営

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《トップINTER VIEW》Rafa Eevent 吉岡拓哉社長、野球用品買取「ピンチヒッター」を運営

2018年12月01日

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220店と提携し月1万8000点買取り

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社長プロフィール
吉岡拓哉(よしおかたくや)。1987年12月25日生(30歳)、長崎県出身。長崎国際大学卒業。
美容系卸売業大手にて営業職経験後、株式会社RafaEvent代表取締役社長就任。小学生時代
よりソフトボール・野球を行い、大学まで経験

野球用品の買取サイト「ピンチヒッター」を運営するRafa Event(長崎県諫早市)。同社は月間1万8000点の野球用品をスポーツ用品店や個人から買い取っている。買取りや販売戦略、また「野球」をテーマに突き進む同社が描く未来像について、吉岡拓哉社長を直撃した。

新品業態へ下取支援
アルペンとも業務提携

--どういう経緯で野球用品のリユース事業に参入を。
吉岡 当社はLED照明の営業会社として2013年に創業しました。スポーツ用品店に営業をかけていた時に、自分たちが中学生の頃に使っていたような旧型の野球グローブが店内に沢山並んでいるのを見ました。

店のオーナーに「このグローブの新しいモデルは売らないの?」と聞いてみると、「これが売れないから、新しい物をそもそも仕入れられない」と返ってきたんです。

売れないからと言って値引きしても、店側には利益があまり出ません。であれば、当社が現金で買い取るので、店側にはその資金を使って新商品を仕入れて頂き、子どもたちが気軽に来られる環境にしましょう!と提案したのが最初でした。


--現在どれくらい買い取っていますか。
吉岡 「ピンチヒッター」の屋号で買取サービスを打ち出しており、スポーツ店や、ネットを介し個人から、月間約1万8000点の野球用品を買い取っています。当社はやると決めたら一気にやろうという社風。

この事業を開始した2015年には、LED照明の事業部から数名を野球用品買取の事業部に異動さ、在庫を買取りできる店舗をどんどん開拓してきました。開始半年で、買取りをした店舗が2000店に達しました。


--今年はスポーツ店と、下取りの提携もされていましたね。
吉岡 はい。今年3月にはスポーツ店向けに下取りの提携として、ピンチヒッターの加盟店募集を始めました。募集4ヵ月で全国を網羅し現在は220店と提携。大手チェーンではアルペンと業務提携しています。加盟料30万円を頂き、当社が提携店に販促ツールを提供して下取りを促し、新品販売に役立てていきます。

グローブは本当に高額化してきている。例えば子どもにグローブ、スパイク、練習着などを揃えようとすると親御さんの負担は大きく、1セット新品で10万円はかかるでしょう。そこで、昔お父さんが使っていたものを買取りに出し、実質負担を下げて子どもの用品を揃えてあげるということができます。


--個人からの買取査定はどのように。
吉岡 当社では事前査定しかやっていない個人の方とはLINEでやり取りし、成約すれば当日中に振り込みます。型番と状態を写真で送って頂ければ、10分以内に当社のデータベースから判断して査定額を出します。開始当初の成約率は4割でしたが、今では9割に向上。機械的にオペレーターが査定するのではなく、提案型に変えて実績を上げてきました。

例えば買取額を提示して同意してくれない場合、「分かりました」で終わるのではなく、「ちなみにどれくらいでイメージされていましたか?」と聞いてみます。かけ離れた金額ならば、現状の市場価格について説明。LED照明の事業で始まった当社ですから、営業マンとしてきちんと当たり前のことを伝えるということは徹底してきました。

フリマで売れない物を「当社が買い取る」

--買い取った商品の販売はどのように。
吉岡 当社では買い取りをしたお客様に販売先を明かしていないんですね。ですがメインは国外販売で、一部を国内既存のECを使って販売しているとだけ言えます。国外では台湾、韓国や、これから野球をやっていこうとする地域からかなりの依頼を頂いています。

国内ではターゲットをまるっきり変えて販売。例えば、今日明日子どものPTA関係で野球イベントに参加しないといけないとなった時、わざわざ5万~6万円もする新品グローブを買うのは大変。安いのがあれば良いという人をターゲットにしています。当社でのグローブの販売単価の中心は7000円~2万円くらいです。


--販売先を明かさない理由は。
吉岡 当社は本当にニッチな商材を独占していると思っています。極端な話、価格帯を自分たちでコントロールできる。それをお客様にキャッチされると、買取り・販売額の相場が互いに崩れてしまう 可能性があり、リスキーです。


--個人から買い取ったグローブの状態は。
吉岡 余程でない限りお客様は綺麗に使っています。ぼろぼろの物はほとんどなく、ボロボロのものは10個くらいセットで送られてくる中に混じっている程度。当社でも出来る限り綺麗にして、セットにして売却するなどしています。あとは出品者がコレクターの場合、ほとんど未使用品の状態で送られてきます。ミズノの旧ロゴのグローブなど、一度に30点送ってくる人もいます。リピーターも多いです。


--グローブ以外の買取りは。
吉岡 買取量の7割はグローブですが、バットやウェアや細かい用品も買い取っています。お客様にあれこれ買い取れると提案すると、フリマアプリでも売れなさそうなものを沢山出してくれるんですね。そこを当社ではしっかりと値を付けるんですが、それができるのも当社にすごい数の在庫があるから。

単品を美しく見せようとするのではなく、既存の商品と組み合わせて価値を上げていくという考え方。例えばバット20本をまとめてバッティングセンターに売るなど、本当に需要がある所にアプローチしています。ある意味、フリマアプリが流行したことは当社にとっては良かった。

野球ファンのデータ 活かし新たな収益を

--今後はどんな展開を考えていますか。

吉岡 単純に野球用品の売買で終わる気はさらさらない。当社は野球に特化し、プレイヤーからファンまでお客様のデータをひたすら集めてきました。今夏の高校野球の開催が迫っていた時期には、「甲子園クイズ」をピンチヒッターのサイト上に打ち出し、1日数千件もの反響があり野球ファンとの接点を作ることができました。

クイズでこれだけ野球の話題で盛り上がったわけですから、例えば「ドラフト予想」「カープ女子」のようにネット上のコミュニティを幾つも作ることができる。そこに対して例えば、野球関連のスマホゲームや、ソフト等の宣伝もできる。それが実現できるのも野球人のデータをひたすら溜めてきた当社だから可能だと思っています。

スポーツ店と違い、ライバルがいなかったことで、多くの野球人の方にご利用頂けました。その結果、圧倒的なデータを溜めることが出来た。当社は野球という狭い所を掘り続け、これまでかなりの先行投資をしてきた。その分のリターンは必ずあると考えています。5年以内には上場したいと考えています。

9-2.jpg▲ピンチヒッターと提携するスポーツ店の野球用品売場

会社データ
社名 株式会社Rafa Event
本社所在地 長崎県諫早市小船越町1131-3
創業 2013年4月
資本金 4300万円
従業員数 約20名
代表取締役社長 吉岡拓哉

第452号(2018/11/10発行)9面

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