リリーフ、遺品整理や中古品の海外輸出で年商5億円

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リリーフ、遺品整理や中古品の海外輸出で年商5億円

2020年03月05日

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7年で9000件の片付け実績

赤澤健一社長リリーフ(グッドホールディングスグループ)
赤澤健一社長

遺品整理や中古品の海外輸出で年商5億円をあげるリリーフ(兵庫県西宮市)。FC展開による拠点網の拡大で、業界での存在感を高めている。廃棄物収集で培ったグループの実績や知名度を活かし、大手不動産や銀行との連携で引き合いを集めている。7年で9000件もの片付け実績を重ねてきた。

--御社は廃棄物収集の分野から、遺品整理に参入されています。

赤澤 グループの創業は1960年です。西宮市で家庭ごみや事業ごみの収集事業でスタートしました。2010年代に入り、終活に関連した遺品・生前整理、空き家やリフォームに絡んでの残置物撤去などを、「おかたづけサービス事業」の総称で立ち上げ、2016年にリリーフとして分社化しました。

--参入の背景は。

赤澤 家庭ごみを収集するための一般廃棄物収集運搬の免許は地域限定ですし、新しい免許はなかなか下りるものではないです。新規参入は少ないですが、県外に出てやっていくのも非常に難しい業界。それに、出てきた廃棄物を集めるのが本来の仕事ですから、廃棄物が出てこないと仕事がない。であれば、廃棄物になる前にお部屋の中にアクセスし、そのまま片付けと、出てきた物を収集するサービスに取り込めるなと思ったんです。ここまではビジネス的視点ですが、もう1つは社会貢献です。

--社会貢献ですか。

赤澤 片付け事業を始める2年ぐらい前、2008年のことだったと思います。非常に暑い夏が続き、お年寄りが室内で熱中死する事故が多発したんです。それまで、例年は年に数件しかないような事故でしたし、社会的にも認知されていませんでした。それが問題として取り上げられるようになると、今度は家1件の片付けで何百万円も取られたとか、その後に不法投棄があったとか問題が起こりました。困っている方がいるのであれば、サービスをちゃんと展開してあげる必要があると思い、遺品整理を産業化しようと考えたんです。

不動産や銀行など400社と連携し受注

--改めて、御社の片付けサービスを教えてください。

赤澤 お部屋の片付けは私どもリリーフとして承り、作業します。そこで出てきたごみの収集は、西宮であれば当社グループ内で、ほかの地域であれば各地域の免許をお持ちの業者さんにお願いするという形式です。ここ7年で9000件の作業実績を上げています。

--同業者との違いは。

赤澤 リリーフとしてフランチャイズ展開をしているというのが大きいです。拠点となる店舗が15ヵ所あり、ここ西宮と、関東、名古屋にある直営店を除くとあとはFC。基本東名阪は対応エリアです。私どもが加盟店にノウハウを提供するほか、加盟店に代わって広告宣伝・集客をやらせていただいています。当社グループの創業は古いですが、遺品整理では後発という認識。基本的には、よそのサービスと同じだと思っています。

--不動産業者など、数多くの企業と連携しているとも聞きます。

赤澤 不動産や葬儀業者、それにリユース業者など400社と連携しています。やはりグループ全体から見れば、財政基盤もしっかりしていて安心できる企業と見てもらえていることに尽きます。もともと大手銀行さんや不動産業者さんとも、産業廃棄物の関係でしっかり取引してきました。例えば不動産業者から当社に紹介があれば、ご依頼主にとってはスクリーニングが1回かかっているので、安心できるとよく聞きます。

代金の半分は処分費に
海外に中古家具を輸出

--利益面で見ると、片付けのビジネスはどうですか。

赤澤 地域ごとにごみの処分にかかる価格が決まっているので一概には言えませんけど、遺品整理となると基本お年寄りですから、お二人かお一人住まいで2DKや2LDKが多くなります。すると、サービス料金は20万円くらいでしょうか。半分が当社のいただく利益となります。残り半分がごみの処分代にかかるイメージです。ただ、人件費や作業費を考えていくと、そんなには残らないですね。

--御社でも、買取りや無料引取をするなどして、再販して利益を高めることも当然しているわけですよね。

赤澤 当社の場合は、東南アジアへの輸出です。このリユースによる売上と、片付けサービスとしての売上も含めてですが、2019年3月期には前年比2倍となる年商5億円を上げました。当社が主に扱うのは家具や日用品など。ご依頼主は、「ショップに持って行っても、たんすは無理」などと言われ引き取ってくれないものが多いらしく、ごみにならざるを得なかった。なので、当社が見て使えそうなものを持って帰ってきたり、作業した業者がFCの加盟店であれば、その加盟店から当社が引き取りさせていただいたりもします。東南アジア各地にも古物市場があります。当社の場合、自社でバンニング(コンテナへの荷詰み作業)して、直接当社が開拓した現地バイヤーに販売しています。バイヤーさんからのフィードバックも常に受けることができているので、顔の見えるところで売買できている点では安心感があります。

--片付け現場には、ブランド品など高額品もありますか。

赤澤 そうとなれば、私どもではなく買取業者さんが得意でしょうから。最初から資産性の高いものが多いとわかれば、買取業者さんと一緒に伺います。ただ、既にそういったものがご本人やご遺族によって捌かれていることが多いです。

--サービスを提供する上での特徴、例えば、コンプライアンス徹底と言えるような工夫は。

赤澤 基本的に現場に行くのは正社員です。責任者ですと、グループ本体で20〜30年働いているメンバーです。どんなに小さい現場でも正社員が2人以上いるようにしています。

バイセルとも提携
着物の次はたんす引取

--今後の動きについて、教えてください。

赤澤 1つ具体的な動きとしては、2月5日より「BuySell Technologies社」との提携を開始しました。先方は着物やブランド品の出張買取に強く、毎月2万件もの案件があるようです。その中の大体6割が、家を片付けたいという要望があってのご依頼だそうです。例えば、もう使わなくなった着物を買い取りに出していただきましたと。次はブランド品も出していただきましたと。すると、最後に残るのはそれらが入っていた和だんすなんです。このようなケースで、次に当社が伺って引き取りをします。

今後も不動産業者などともそうですし、リユース業者との連携もドンドン増やしていきたいなと思っています。


会社概要
社 名  株式会社リリーフ(グッドホールディングスグループ)
代表取締役社長 赤澤健一
創 業  1960年
資本金  5000万円(リリーフ)
業務内容 遺品整理・住空間整理サービス・リユースサービス
本 社  兵庫県西宮市鳴尾浜2-1-26
売上高  リリーフ単体:5億円(2019年3月期)

社長プロフィール
赤澤 健一(グッドホールディングス株式会社 代表取締役社長兼任)
1961年兵庫県生まれ。近畿大学卒、同志社大学大学院博士前期課程修了(修士)。1985年大栄グループ(現グッドホールディングスグループ)入社。廃棄物収集から処理などの実務に携わる。グループ内事業会社の代表取締役を歴任し2010年グッドホールディングス株式会社の代表取締役社長に就任、現在に至る。業界団体の理事なども務める。2020年3月株式会社リリーフ代表取締役に再就任。

第482号(2020/2/25発行)11面

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