《トップINTER VIEW》イーベイ・ジャパン 岡田雅之社長、無料出品枠を拡大しセラーを支援

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《トップINTER VIEW》イーベイ・ジャパン 岡田雅之社長、無料出品枠を拡大しセラーを支援

2020年05月17日

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米国で"現金給付"始まり販売増加

7P1.jpgイーベイ・ジャパン 岡田雅之社長


〈プロフィール〉
1997年日本電信電話株式会社(NTT)入社。黎明期のネット関連事業の立ち上げに携わった後、カリフォルニア大学バークレー校に留学(MBA)。アクセンチュアでは戦略コンサルタントとしてテクノロジー企業の新規事業戦略およびM&A戦略の立案に携わる。Apple社プロダクトマネジメント部門にて極東地域の市場戦略責任者およびApplePay事業の立ち上げを経て、2017年よりイーベイに入社。国境を超えたボーダーレスな商取引の拡大に向け、越境EC事業を推進中。

緊急事態宣言により国内の店頭販売が困難な状況に陥る中、ネット販売は好調に推移している。海外向けの販売はこのコロナでどんな変化が起きているのだろうか。そこで、越境EC大手イーベイにおける主に北米の状況について、イーベイ・ジャパンの社長に新しく就任した岡田雅之氏に聞いた。

ーー新型コロナ感染拡大により、外部環境が大きく変わりました。イーベイではどんな変化が起きていますか。

岡田 3月9日を境目に需要が大きく変わりました。米国が大混乱に陥った当初はマスクだとか消毒液などのカテゴリーが大きく伸びました。その状態が続いていたんですが、段々と元に戻りつつあり、4月15日頃から非常に需要が盛り上がってきています。

ーー何が起きているのでしょう。

岡田 米国でいわゆる現金給付の配布が始まり、8000万人の口座への振り込みが始まったんです。大人1人当たり1200ドル、子供は700ドル配られる大盤振る舞いで、潮目が一気に変わりつつあります。数字が非常に良いとセラーさんから聞いています。

ーーどんな商品が売れているのでしょうか。

岡田 マスク等の後に、巣ごもり商品として、ゲームやおもちゃ、パズルやトレカなどが動いていました。また、コロナ前からブランド時計やカメラは好調に推移しています。一時的に厳しかったファッション関連も動き始めています。全体的にコロナ前と同じくらいに戻ってきている印象です。

ーーただ、配送はEMSが止まっている国も多くあります。

岡田 確かにセラーさんが苦しんでいるのは、シッピングのところです。日本郵便さんが約160ヵ国への配送を中止しています。配送出来る国でもEMSが遅れていますので、そこが苦しい。ただ、思ったより多くのセラーさんがDHLやフェデックス、UPSなどのクーリエ(国際宅配便)に切り替えている。その分発送の単価も上がりますが、それほど大きなインパクトは見られません。

ーー遅延はどれぐらい起きていますか?

岡田 北米でも最大2週間かかると言われています。EMSだと通常3、4日程度で届くんですが、プラス数日から最大2週間かかっている状況です。大手の方はアカウントを既に持っており、切り替えがスムーズですが、EMSオンリーで送っていた中小の事業者は切り替えるのに契約手続きだったりとかで、発送の遅れが生じているところがあります。

出品増のセラー売上1.5倍に

ーー4月にはセラーを支援する施策を発表されましたね。

岡田 4月には3つの施策を実施しました。まず、「セラーパフォーマンスの保護」です。通常より配送が遅延したり、やむを得ない理由で注文のキャンセルが発生した場合に、セラーパフォーマンスに影響が出ないように保護しています。2つ目は「販売手数料の支払い猶予」です。一定条件を満たされたストアさんには、販売手数料に関して30日の支払い猶予を設けました。そして3つ目が「追加出品手数料の無料化」です。月5万品までの固定価格で出品された商品の出品手数料が無料になるというものです。

ーー出品手数料が無料ということは、多くの商品を出品しやすくなりますね。

岡田 そうなんです。イーベイでは、リスティングリミットと言って、出品上限が設けてあり、実績を積んでいくことで出品枠を増やしていくことができるんです。また、無料で出品できる数には制限があり、追加料金が発生するのですが、今回の措置で月間5万点まで無料で出品枠を広げることができるようになりました。そもそも5万点も枠がないというセラーさんには、3倍まで広げることができるようにしました。

ーーどんな効果が出ていますか。

岡田 出品枠を広げたセラーさんのパフォーマンスは、その他のセラーさんと比べて売上が1.5倍程いいんです。無料の出品枠が広がり、出品を増やしたところに、先ほど申し上げた現金給付が始まり販売の好調につながっています。これを狙っていたところもあり、うまく施策がハマりました。コロナの影響でペット関連のグッズが売れているのですが、意外な商品としてペット用のヴィトンのバッグや首輪等が売れているんです。米国ではペットブームが来ていた中、コロナで外出禁止令が出ました。今回リスティングリミットの枠が広がったことで、いろんな商材にトライアルされることにつながり、それが功を奏した形だと思います。

ーーまだまだ売れる商材が眠っていそうですね。

岡田 イーベイは、買い手の絶対数が圧倒的に多く、また日本人の方の想像が及ばないニーズが眠っているところが面白いのではないかと思っています。1億8500万人のバイヤーが買いにきますので、圧倒的だと思います。購買力が高いのも魅力です。

ーー販売が不振の企業も多い中、越境ECが好調なのは救いです。これからイーベイを始める方向けの施策はありますか。

岡田 5月からは新しくイーベイを始められる方向けにストアフィーを3ヵ月無料にします。昔から言われていたのですが、イーベイは新規セラーに厳しいと。そこは我々も問題視しておりました。こういった時期だからこそ、越境ECに取り組みたい企業が多くいると、コロナで業績が厳しい方もいらっしゃいますので。

アフターコロナは外出品銘柄に注目

ーーコロナの影響が戻る時期はいつ頃と考えていますか。

岡田 難しい質問ですが、二段階あると考えています。ひとつは世界経済において、ロックダウンの解除がいつになるか。もうひとつは、国際郵便がいつ回復するかです。米国の動きを見ていますと、ひとつの節目は5月中旬頃、そこから正常化への一歩が始まる。物流の方はエキスパートではないため分かりませんが。

ーーアフターコロナで伸びそうな商材はありますか。

岡田 釣り具やゴルフなどのスポーティンググッズ、バイクを含めた車関係などのアウトドアグッズはこれから来るかなと見ています。釣り具は、シマノやダイワといった高性能のリール類やロッド、ルアーなどが人気です。ゴルフクラブは、アジア人サイズのものや本間ゴルフのような高級クラブが結構人気です。テーラーメイドでも欧米向けとアジア向けはタイプが違うため、海外のアジア人の方がよく購入されています。そういう意味では、コスメもスキンタイプが合うアジア系の方が購入されます。ファッションも伸びていくでしょうから、外出品銘柄に注目ですね。また、米国では毎年3月にはタックスリターンと言って、所得税の還付が行われるため販売が大きく伸びるのですが、納税が7月まで延長されたため、還付のタイミングも今年はズレます。現金給付も配り終えるには時間がかかり、恐らく9月頃までかかると見ています。回復基調なのが数字上も出ており、これから越境ECを始められても遅くはありません。

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第487号(2020/5/10発行)7面

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