《骨董買取の技法12》陶磁器、柿右衛門13代以降は要注意

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《骨董買取の技法12》陶磁器、柿右衛門13代以降は要注意

2016年06月10日

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骨董買取の技法 タイトル

骨董買取の技法 第12回

箱に「濁手...」、本体銘ナシ=本人作

日本の伊万里焼は、17世紀に東インド会社を通じてヨーロッパに輸出されていました。 初期のマイセンは、当時の柿右衛門の模倣をし影響を受けています。今回は柿右衛門を中心に、今右衛門、太郎右衛門といった日本の陶磁器を見ていきます。

酒井田柿右衛門

まず、ほとんどの業者の方が扱ったことのある柿右衛門についてふれます。柿右衛門と何気なく言っていますが、苗字もあり「酒井田柿右衛門」が正式名称です。今の柿右衛門は、15代目で、通常出てくるのは12代目以降の作品です。

まず12代目の作品には、銘が入ります。その中でも、「東海道五十三次の描かれた壺」と様々な置物には高価な作品がありますので注意が必要です。また12代の時柿右衛門窯は、小畑秀吉という実業家と10年程共同経営となり、別れた後も40年ほど「小畑柿右衛門」の作品は造られます。これらは、通常の柿右衛門と較べ価値は落ちます。

160610_05kotto.jpg13代柿右衛門本人作茶碗

13代目以降には色々、注意すべき点があります。まず第1点目は、通常でてくる柿右衛門の作品の裏に紺で「柿右衛門」と銘が入っています。この裏に銘のある作品は柿右衛門工房の作品で、本人の作品ではありません。では本人作とは何か?箱の題名に、例外なく「濁手...」と書かれています。そして作品本体には、銘がありません。その理由は、濁手と呼ばれる生地と赤絵は他には真似できないということのプライドのあらわれだと思います。濁手の生地は、通常の柿右衛門の生地より、柔らかさを感じます。自信のない方は、わかる業者に聞いた方がいいでしょう。贋物も勿論ありますので。

今泉今右衛門

柿右衛門と並ぶ有田焼の巨匠、「今泉今右衛門」。こちらは、現在14代目。去年、人間国宝に認定されました。これもどこのデパートでも入っていますし、よく出て来ます。この今右衛門にも、本人作と工房作品があります。工房作品には、「今右衛門」と紺で銘が入っています。そして本人作には、「今右衛門」と彫ってあります。色はついていないので、一見、見落としがちです。我々からすると、銘のない柿右衛門よりかは親切ですね。今右衛門の場合、本人作は、「薄墨」「吹墨」(十三代) 「墨はじき」(十四代)と作品名に箱書きされます。柿右衛門の場合は、白の地に赤や緑などの色絵が描かれていますが、今右衛門の本人作は全体が緑や濃紺、グレーっぽいものなど、多岐に渡ります。また、今右衛門の本人作にも贋物がありますが比較的わかりやすいです。

中里太郎右衛門

最後に、唐津焼の中里太郎右衛門について書きます。太郎右衛門にも本人作と工房物があり、工房物の銘には点が3つ。ちょうど正三角形の頂点だけを残したような感じです。太郎右衛門の場合は、工房物以外の作品はすべて本人作であるという感じでいいかと思います。ちなみに太郎右衛門だけ、磁器ではなく土ものです。

以上の3人を佐賀の三右衛門と呼びます。また、有田の三右衛門だと、太郎右衛門の代わりに、館林源右衛門が入ります。その他、「右衛門」は有田にはたくさんいますが、この4人以外はそれほど神経質にならなくていいかと思います。

藤生 洋藤生 洋

<プロフィール>
昭和42年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、ロッテの財務部で勤務。サラリーマン時代から骨董市に通う。歴史好きが高じて平成11年、31歳で起業。ネットオークションや骨董市で骨董品の販売をはじめる。平成13年には「(有)北山美術」に改称。平成24年には骨董の業者間オークション「弥生会」を3社共同で立ち上げ、会員数200社の規模に拡大する。現在は店舗と事務所を東京・千葉・札幌に展開している。骨董店での修行無しに独自に事業を軌道に乗せた手腕が話題になり、 2冊の著書を上梓。

393号(2016/06/10発行)5面

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