《ブランド市場バイヤーに学べ47》古物業界の発展と課題

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《ブランド市場バイヤーに学べ47》古物業界の発展と課題

2018年08月04日

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第47回 古物業界の発展と課題

先月19日、フリマアプリ国内大手のメルカリが東証マザーズに上場し、話題を集めましたね。
公開後、株価はぐんぐん上がって初値の3,000円から一時は5,000円を超えるほどの値上がりを見せたそうですから、いかに注目されていたかが分かります。

今後、フリマ市場=CtoCはますます発展していくのでしょう。

こんな風に書くと、古くから質屋やリサイクルショップを営む私たち古物業界はCtoCの波にのまれてしまうのでは、という声が上がるかもしれません。
しかし、一般の消費者にとってフリマアプリは便利な一方で、まだまだ不安な面もあるようです。

先日、メルカリ上場のタイミングに合わせて、私たちが主催するRKグローバルオークションと当社の小売店ロデオドライブにTBSテレビ「Nスタ」さんの取材があり、メルカリ上場日と同じ日に放映されました。

内容は、CtoCを軸に成長を続ける非対面のネット販売と、古物市場や店舗のリアルな現場を比較しながら、フリマ市場の課題に着目するものでした。

フリマアプリでは日用品や衣料品の売買が気楽に行える一方、高額なブランド品の取引となると「コピー品」をつかまされるのが怖い、という消費者心理は未だ強いようです。

CtoC活性で古物業界全体の盛り上がりへ

メルカリではコピー品に対する監視や、AIによる検知といったテクノロジーによる環境整備を進めているそうですが、最終的には代金の補償に拠るそうで、技術的にはまだ発展途上なのかもしれません。

その点でいえば、ブランド古物を長く取り扱ってきた古物業界には一日の長があります。

Nスタの取材クルーをRKグローバルオークションにご案内した際、一度の古物市場でこれだけの高額品が流通していることに驚かれ、感心されている様子でした。

長年の経験値とノウハウを活かしていけば、CtoC全盛のいまでも質屋やリサイクルショップの存在感を発揮できると感じています。

また、フリマアプリが普及したことで「買って売る、売って買う」意識が当たり前になりつつあります。

以前は、中古に対する根強い抵抗感を持つ世代の方もいましたが、今後はどんどんハードルが下がっていくでしょう。
そういった意味では、CtoC市場が活性化していけば、古物業界全体が相乗効果で盛り上がっていく可能性だって秘めていると思います。

一方で、メルカリがAIによるコピー品の検知を高めていくように、今後は新しい技術やサービスにも目を向けていかなければなりません。

いまは完全でなくとも、以前にリサイクル通信紙面でも取り上げられていた、AIによるブランド鑑定サービスを提供するEntrupy(エントルピー)社のように、今後は鑑定精度も高くなっていくのでしょう。

私たちも長年培ってきたノウハウに頼りすぎることなく、広い視野を持ちたいものですね。


齋藤 清<Profile>
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ・執行役員 兼 オークション事業本部 本部長 グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。

第444号(2018/07/25発行)15面

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