フリマアプリの台頭でリユース企業苦戦は本当か?

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フリマアプリの台頭でリユース企業苦戦は本当か?

2019年09月08日

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フリマアプリによるリユース企業の業績悪化の真偽を調査
収益改善が顕著な企業と業績不振の企業の両方が存在
小規模リユース事業者の淘汰は進行

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フリマアプリの台頭で
リユース企業苦戦は本当か?

中古市場においてフリマアプリの勢力が拡大する一方で、リユース企業が苦境に立たされていると言う話を聞く。果たして本当にそうなのか?本紙では上場するリユース企業15社の3―5月、4―6月業績を調査した結果、増収増益企業は9社にのぼった。

2019-09-03.png▲上場リユース企業の業績 *売上高・売上総利益・販管費・営業利益は前年同期比で算出。営業利益率は、当該期間における値。MEはマーケットエンタープライズの略称

フリマアプリ大手メルカリの流通額が5,000億円規模に拡大する中、リユース企業の業績は悪化しているのか調査した。表の数字は、上場するリユース企業15社の2019年3―5月または4―6月における業績の前年同期比を示したものだ。その結果、15社の内9社が増収増益、1社が減収増益と10社が増益となった。また、増収減益が2社で、減収減益は3社だった。

収益改善が顕著なブックオフ・ME

営業利益が最も高い伸びだったのが、ブックオフグループホールディングスで288.2%。前期末決算で中期経営目標に定めていた経常利益20億円を2年前倒しで達成するなど収益性の改善が顕著で、今期に入ってからもこれを継続。既存店売上は4月から7月まで全て前年を上回って推移しており、今期は収益だけでなく売上の増加も見込めそうだ。

売上及び収益の両面で高い伸びを示しているのがマーケットエンタープライズ(ME)だ。2019年6月期の決算では、過去最高売上となる85億円に。また、これまでの投資フェーズを経て収益面も大きく改善したことで、期末の営業利益は5倍近い伸びとなった。既存のネット型リユース事業では、農機具・建機・医療機器等の法人向け商材が高い伸びで牽引、中古携帯等を扱うメディア・通信事業も大きく伸長したことが奏功しているようだ。

業績改善中のワンダーコーポレーションにおいて、リユース事業のワンダーレックスは絶好調だ。新店の黒字化に加え、EC事業が前年比16.4%増と好調。収益面の伸びも大きく、今後同社の再生の軸になっていくと見られる。

コメ兵は、売上高は10.4%増と好調ながら、営業利益は71.9%減と増収減益。大型の新宿店舗の移転に伴う地代家賃の上昇や広告宣伝、人件費等の販管費が嵩むことから、今期は減益計画。来期以降は増収増益を見込んでおり、一時的なものと見られる。

大黒屋は海外不振
ブランディアは赤字

一方で、減収減益と業績不振の企業もある。ゴルフ・ドゥは、買取不振で中古ゴルフクラブの品揃えが悪化したことにより、全店ベースで売上が12.1%減。コメ兵やSOUと言った競合の中古ブランド企業が売上を拡大させる中、大黒屋HDの業績は芳しくない。国内は免税売上が減少しているのに加え、英国質店のSFLグループの不振が大きく影響しているようだ。これまでネット型リユース企業として成長し続けてきた「ブランディア」を展開するデファクトスタンダードは、過渡期に入っているようだ。4―6月期は赤字となり今期累計でも1.7億円の赤字だ。ファッションレンタル事業への参入や、新品販売事業wajaから事業を譲受する等これまでの戦略から変化が見られる。

帝国データバンクの調べでは、リサイクルショップの倒産件数が30件と過去最高となり、前年の2倍に増加したと言う。この数字が特筆して多いわけではないが、倒産件数が増加傾向にあるのは確かだ。フリマアプリに対抗する大手リユース企業に圧迫される形で小規模のリユース事業者の淘汰が進んでいる面もありそうだ。

第470号(2019/08/25発行)20面

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