千年質屋【第1回】カドノ質店(前編)、2022年に創業百年を迎えた下町の質屋

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「千年質屋」

千年質屋【第1回】カドノ質店(前編)、2022年に創業百年を迎えた下町の質屋

2023年04月05日

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千年質屋【第1回】カドノ質店(前編)

質屋業の源流を辿ると、奈良時代から平安時代にかけて唐や宋へ留学した僧侶たちが、現地の寺で無尽蔵、長生庫の仕組みを見て便利と思い、輸入したものと言われている※1。質屋金融にはゆうに千年を超える歴史があるのだ。当初は僧侶が営業していたこともあり、営利で千年の歴史を持つ店は現存しないようだが、百年以上続く店は全国にあまたある。新シリーズ「千年質屋」は、創業百年以上の店の歴史と転機、未来への展望を紹介するコーナーだ。第1回は昨年、創業百年を迎えたカドノ質店(東京都江戸川区)を取り上げる。代表の角野大弘氏は全国質屋組合連合会の会長でもある。

高度成長期に質草は日用品から高級品へとシフト

初代は質屋で修行し深川の質屋の婿に

JR総武線小岩駅の改札を出て長い商店街を抜けて歩くこと10分、閑静な住宅地をしばらく進むと、スタイリッシュなグレーの建物が目に入る。1922年(大正11)創業のカドノ質店だ。2022年に創業百年を迎えた。

カドノ質店 店舗外観店舗外観。コンセプトは「要塞」だ

カドノ質店は初代・孝作が東京都江東区深川で質屋を営む角野房子と婿入りの形で結婚し、店主となって始まった。妻の房子は岡山県和気町から東京へ出てきた女性で、別の男性と結婚して4人の子供に恵まれたが死別。夫が質屋だったのか、房子が質屋をはじめたのかは定かでないが、孝作はその質屋に出入りしていた業者だった。当時、夫は別の仕事をし、妻が家で質屋を営むことが珍しくない時代だった。

孝作は1906年(明治39)生まれ。赤坂の質屋で修行してから独立し、着物や貴金属を市場で仕入れて店に卸す旗師(仲買人)をしていた。古物全般の知識があるうえ真面目な人物だったので、質屋の婿にと見込まれたらしい。

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第556号(2023/03/25発行)19面

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