金地金の密輸増加 一部インゴット買取停止の動きも
2025年11月25日
金地金の密輸入が増加している。財務省が11月12日に発表した資料によると、令和6事務年度(令和6年7月から令和7年6月まで)までの関税等の脱税事件において、金地金の密輸入の件数及び脱税額が前年の2倍弱に及んでいる。背景には、金相場の高騰がある。地金買取り業者では不正品と疑われる一部の金インゴットの買取りを停止する動きもあり、買取店にも影響を与えそうだ。

財務省の「令和6事務年度の関税等の脱税事件に係る犯則調査」によると、金地金の密輸入に係るものが処分件数で前年から82%増の186件で全体の約6割を占めた。また、脱税額では約6億2000万円と同73%増と全体の約9割を占めた。
金地金の密輸が絶えない理由は、消費税差益にある。海外の非課税地域で購入した金地金を日本国内に密輸して売却した場合、消費税分の10%が利益となる。また、金相場は近年グラム当たり単価が高騰を続けていることから、少量でも差益が大きい。
田中貴金属の店頭小売価格では、9月29日にグラム当たり2万円を突破。足元では2万2000円前後で推移している。密輸が再び増える前の2022年1月の平均はグラム当たり6755円だったことから、当時から約3倍高くなっていることが分かる。
第620号(2025/11/25発行)1面


