《トップINTER VIEW》テイツー 藤原 克治社長、自衛隊や湯原温泉とコラボ

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《トップINTER VIEW》テイツー 藤原 克治社長、自衛隊や湯原温泉とコラボ

2019年10月04日

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「それぞれの"得意"を持ち寄り地域振興」

9写真.jpg▲テイツー 藤原 克治社長

古本市場」などの屋号で新品・中古の書籍やゲームを扱うテイツー(岡山県岡山市)。減収が長らく続き業績が振るわなかった中、19年2月期には3期ぶりに黒字に転じた。自社の発信力の低さを、地域イベントとの連携でカバーし、来店客の増加を実現している。「地域で必要とされる会社を目指す」と語る、藤原克治社長を直撃した。

 

--地域イベントとの連携の狙いは何ですか。

藤原 私が社長に就任した2年前、会社はかなり業績を落としていて、創業の岡山ですら認知が低下していたので、様々なリストラ策を打つと同時に、単純に店の存在に気づいてもらおう、そして地域に必要とされる店になって生き残ろうと考えました。地元企業や行政機関を回り、会社への評価を確認し、必要とされる居場所探しを始めました。

--具体的にはどんなことを。

藤原 店外で今まで会えなかった人と接点を持ち、コミュニティ形成に注力。来店した人に再来店を促すことはしていましたが、地域の人々の移り変わりに対応しなければなと。最初のアプローチは、2000人規模で30年活動している地元サブカル団体でした。そこで会社の発信力を強化する策として、自社キャラクターの活用方法も学びました。誕生したのが「ふるもと一葉」です。人気のイラストレーター・声優さんが命を吹き込んだキャラクターは、会社の広告ツールとなりました。店舗SNSも盛り上がり、一連の活動とあいまって、前年比3〜5%レジ客数は増えました。

 

カードゲームで防災喚起
ネット検索2000万件

--他とはどんな連携を。

藤原 地域の障がい者の皆さんも大切なコミュニティ。自立支援活動に関わり、障がい者の皆さんも利用しやすい空気感をと事業所で作ったお菓子の買い取り販売を始めました。毎週買う常連さんや、関係者の来店はありがたいです。オリジナル手焼き煎餅は老舗ブランド品で、これも障がい者自立支援商品です。店外イベントでも一緒に活動しています。
また度重なる災害のもと、日本中で防災意識が高まっていますが、私は阪神大震災を兵庫で経験しています。その後も各地で発災し、昨年は西日本豪雨災害が発生。自衛隊の災害派遣活動を目の当たりにして、もっと災害の警戒心、防災意識を高める発信に関わることができないか考えました。必要とされる店の役割として、駐車場に災害派遣のお風呂や炊飯機能の装備車両を展示するなど、防災意識を地域に醸成する活動を展開していきました。多いと店先に延べ2000人が集まるので、これも店中心のコミュニティ形成の1つとなっています。

--防災意識から送客に繋げるわけですね。

藤原 行動の原点は、地域に必要とされる店作り。コミュニティのキーワードが「防災意識」で、店も発展すれば皆ハッピー。地域で様々な発信を行うことで、自然に店を思い出してくれて、店内で楽しんで笑顔になってほしいです。災害は時間が経過すると意識が薄れます。昨年の西日本豪雨災害の際、子供たちの将来に繋がるツールを作りたいと思いました。それで、親子が遊びながら災害の意識を醸成できる「自衛隊災害派遣カードゲーム」の企画・製作に自衛隊・関連団体と連携のもと携わりました。自衛隊が提供するツールとして、防災イベントで参加者に配布されましたが、この取組は大々的にニュースで取り上げられ、ネットで2000万件相当の検索数になりました。カードの企画設計は、トレカが大好きな「古本市場」スタッフが関わりました。

--これはボランティアなんですか。

藤原 もちろん自衛隊と連携した取組活動は、利益を追求していません。これとは別にゲームのノウハウを生かした派生商品の展開は8月から古本市場系列店で開始し、一般ユーザーから好評を得ています。また、店外施設でも販路拡大を推進していて、トレカプレーヤーだけでなくコレクターにも人気の商品になってほしいと思います。これまで物を仕入れて売ることに徹してきましたが、自社商品の製造販売にもチャレンジしていきたいです。

 

観光施設に古本店
「絶対に赤字にならない店」

--他の取組はどうでしょう。

藤原 地元岡山の湯原温泉と提携し、町の観光情報センター内に小さな古本屋「ふるいち湯原温泉はんざき店」を出店しました。初めて町ぐるみのコミュニティ作りに関わった試みです。現地では30年ぶりの本屋誕生となり話題となりました。皆さんから「こんな僻地に店出して大丈夫?」と聞かれるのですが、うちにとっては絶対に赤字にならないアンテナショップなんです。町と店の利害を整えて運営は成立しています。この店を出して驚いたのは、当初は地元の方が主要客になると予想していたのですが、実際は観光客が大人買いするということ。やらないと分からない発見でした。売上は折半し、観光情報センターに還元します。施設側によると古本コーナーを求めて施設利用者も増えたため、高評価に繋がっています。自分たちの得意なものを持ち寄って地域振興に役立てるこのCSV(クリエイティング・シェアード・バリュー)の取組は、多数の情報番組で取り上げられた鳥取県倉吉市の「ふるいち関金温泉まんが王国店」の出店に繋がりました。

--聞かせてください。

藤原 「グリーンスコーレせきがね」という国民宿舎に、中古のコミックを26万冊持ち込んで蔵書日本一の漫画温泉を開発しました。関金温泉は1300年の歴史を持ち、ピーク時12ヵ所の温泉宿泊施設がありましたが、現在同館を含め2ヵ所。この温泉地を選んだのは、鳥取県が漫画聖地を多数保有し、観光資源としている「まんが王国」だから。県庁の承認も得て堂々と「まんが王国店」と名付けました。現在、施設の利用者は倍増と順調な滑り出しで、これを新たな出店の形と捉え、地域をどんどん盛り上げたいです。私たちの収支ですが、ここのランニングも実は絶対に赤字になりません。施設の発展を見据えて収益分配は段階的に上げていくので、今後の展開が楽しみです。この経験は、私たちにとって初めての大型CSV活動となり、情報発信の面においても予想以上の効果がありました。

--今後、地域振興で考えていることは。

藤原 地の利のある創業の地から展開した地域振興活動ですが、田舎でやることは意外と取り上げられ全国への発信に結びつきました。今後も効果的に活動し、関東地区でも新たなコミュニティ拡大を目指します。また、当社の中核店舗網は京阪神にあるので、この秋には同地区店舗活性化プロジェクトを立ち上げます。現在、一連の動きを支える新たなシステムインフラを整備しており、今後も会社をさらに進化させていきたいと思います。


●会社データ
社 名 株式会社テイツー
屋 号 古本市場など
※合計101店舗(2019年2月末現在)
創 業 1989年10月
設 立 1990年4月
資本金 12億3612万円
(2019年2月28日現在)
本 社 岡山県岡山市北区今村650-111
売上高 230億400万円(2019年2月期)
※内、中古売上104億2000万円

●事業内容
書籍、家庭用ゲームソフト・ハード、トレーディングカード、ホビー、衣類・服飾品、CD・DVD等の販売および買取、CD・DVD等のレンタル業務、ファミリーマート店舗の運営

●社長プロフィール
藤原克治(ふじわら・かつじ)。1969年12月27日生、岡山県出身。1993年3月、関西大学商学部卒業。1993年4月、東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2001年1月、テイツー入社。2017年5月より同社代表取締役社長(現任)

第472号(2019/09/25発行)9面

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