リユース業界の成長と発展に欠かせない視点、精神的欲求を叶える「コト売り」価格競争から価値競争へ

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リユース業界の成長と発展に欠かせない視点、精神的欲求を叶える「コト売り」価格競争から価値競争へ

2020年01月19日

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明日のリユースを創る! 
実践マーケティング講座

~第16回 ヒューマンシフト3 モノからコトのシフト~

コト売りというと皆さんどのようなイメージを持たれるでしょうか?新聞やマスコミに報道される内容としては、「体験を売ればいいんですね」という理解が一般的だと思いますが、私がお伝えしている内容は実は違います。

例えば中国人のインバウンド客が、もう日本のモノを買うことは飽きて、そば打ち体験や陶芸体験など日本らしい体験商品に消費が移ってきたと言われますが、この場合、体験を売ること=コト売りと誤解されている傾向があります。もちろん体験商品もコト売りの一つなのですが、その根本が違います。コト売りの根本は、体験だけではなく、「どうやってお客様を喜ばすのか?」「どうやって役立つのか?」「お客様の関心や興味をどう深堀りできるのか?」という視点に立って、行動する事をコト売りと定義しています。

どう売るかどう役立つか

中国人インバウンド客でいうと、中国人観光客は「日本のどんなコトに興味があるのか?」ということです。そば打ち体験を通じて日本の繊細な心遣いを伝えたら喜ばれるのではないか?だったら、季節に合わせたそば作りの違いを伝えるような内容がおもしろいのではないか?じゃあ、季節によってそば作りを変える理由の説明を入れてみよう!とどんどんアイデアが膨らみます。前者は体験商品を販売すること、後者は日本の繊細な心遣いを感じて喜んでもらうのが目的という違いがあります。

つまり、体験を売るのではなく、体験を通じて得られる精神的欲求を叶えるのがコト売りなのです。似ているようで違いますし、何よりお客様に伝わるコトが違い、結果が違ってきます。

リユース業界も、リアル店舗やネット販売でもたくさんモノを並べているだけで売れる時代は終わりました。お客様の問題、課題の解決や興味、関心事の深堀り、そしてお客様の自己実現のお手伝いがどのようにできるか?という目的がまずあって、それを実現するための手段として、商品やサービスが後から出てくるのです。先に商品、サービスから考えないことが重要です。

ですので、最初に考えたいのは、「お客様の解決したい問題は何なのか?」「お客様の自己実現をどうお手伝いできるか?」の2つです。そのコンセプトから商品・サービスを考え、自社でできる事から始めていきませんか?

まさに、これからの時代は、価格競争ではなく価値競争の時代です。お客様に対しての思い、考え方、などのあり方が透けて見える時代。そのあり方とやり方を繋げて、たくさんのお客様を喜ばせましょう。令和の2年目が始まりました。これからのリユース業界の成長と発展に欠かせない視点だと思います。

福本晃 氏


福本 晃
元船井総研上席コンサルタント。2000年に、リユース業界向けコンサルティング部門を立ち上げ、全国各地に600店舗のクライアントを持つ部門に育てる。リユース業界のエキスパートとして、株式上場企業など数多くの急成長企業を作り出してきた。2017年3月にコンサルティング会社「A−DOS」を設立する。現在、「企業の"あり方"と"やり方"をつなげて、"理念"を"利益"に変える」をモットーにコンサルティングを行っている。リユース業界向けには、TRCコンサルティングを立ち上げ、リユース企業への幅広い支援を行っている。著書に「はじめよう!リサイクルショップ中古品マーケティングの真髄」。

第479号(2020/1/10発行)18面

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