テレワークで中古機器に白羽の矢 ノートPCからオフィス家具まで

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テレワークで中古機器に白羽の矢 ノートPCからオフィス家具まで

2020年05月19日

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MARKET Trend

新型コロナウイルスの影響でテレワーク化が進む中、これに関連して販売が伸びている中古商材がある。PC、スマホ、イヤホン、オフィス家具等がその例だ。新品流通の滞りが影響し、安価にいち早く揃えられる中古品に注目が集まっている。

在宅勤務で様々なアイテムが必要になる在宅勤務で様々なアイテムが必要になる

主なテレワーク向け商材主なテレワーク向け商材

「売れていくのは2万〜3万円台の中古ノートパソコン。高くても10万円以下のもの。それに絶対カメラ付き。新型コロナの早い終息を望み、とにかく今をしのげればという心理が、買われていく価格帯に表れている」(某PC販売店関係者)

昨年末には使用済みハードディスクの不正転売事件が起き、それを対岸の火事としない同業者の間では、業界全体の不振に繋がる事案だと危ぶまれた。だが、年が明け気づいてみればウイルス蔓延が日に日に深刻化し、各々が今の有事に適用しようと、中古IT機器へ熱視線をこれまで以上に送っているように見える。

ヤマダ電機グループのインバースネットでは、企業への大口販売が伸びている。「店頭購入のお客様は減少傾向も、ウェブからお問い合わせをくださる企業が急増。一度に50〜100台の中古ノートパソコンを入れたいという声もあるなど、企業からの引き合いは平時より3〜5割増えている感触」(同社担当者)。

今年1月にはウインドウズ7のサポートが終了となり、これを受け近年は企業からの使用済みPCの放出が相当数あったとされる。そんななかコロナの影響で、中国に置かれたメーカーの部品生産拠点が機能低下し、新品流通は停滞。外出自粛の要請によってテレワーク導入が強く叫ばれるも、国内の販売店では新品の品薄が相次いだ。そこから、中古PCに白羽の矢が立ち始めていた。

販売小売店を持たず、法人取引やネット販売が主体のアンカーネットワークサービスでも、「中古PCの売上は前年比で3割アップ。同業者のどの店も同じくらい売れている様子」という。また、HDDより耐久性が高いとされるSSD(Solid State Drive)を自社開発し、それを中古PCに換装してリフレッシュPCとして打ち出しているオーエープラザは、「2月以降、リフレッシュPCの販売は昨対比2割以上で成長。これまで会社に行かないと仕事ができないというような固定観念を持った人たちからも、新たな需要が生まれている印象」と話す。

ウェブ会議広まりカメラが足りない

またテレワーク化によって、ウェブ会議システムを通じて社員や取引先、お客とコミュニケーションを取ることが浸透してきている。それを受け、中古でもカメラ付きノートPCの需要が高まっている。企業によっては会社の機材を外に持ち出すことを可とする所もあるが、企業がPCを大量導入する際は、コスト削減の観点からカメラ機能が付いていないPCを選ぶケースも多分にあった。そこでウェブカメラだけを買おうにも、中古・新品ともに販売店では軒並み品切れ。PC本体よりは中古の出回りが少ないこともあり、枯渇状態が続く。

中古スマホレンタルが平時の3倍

ウェブカメラと同様、PC周辺機器にあたるヘッドセットやイヤホンも特需が起きている。eイヤホンの屋号で新品・中古のイヤホン等を扱うタイムマシンでは、「1万円以下の安価なマイク付きイヤホンやゲーミングヘッドホンはよく売れている」という。

また、レンタルや通信契約においても他のリユース業者からも動きが見られている。中古モバイル端末を扱う携帯市場では、スマホ、タブレット、ガラケーのレンタルを展開。3月の受注は平時の3倍にまで膨れ上がった。また、マーケットエンタープライズでは3月の中古PC販売が大幅増加だったことに加え、高速モバイル通信サービス「カシモWiMAX」の契約台数も伸びている。

さらに、テレワーク需要はIT機器だけに止まらない。オフィスバスターズ子会社のレンタルバスターズはオフィス家具のレンタル実績が伸び、3月の業績が昨対比130%となった。中国からの輸入が遅延していることで新品の納品に遅れが生じ、中古の椅子や机に対する問い合わせが集中している。また中古オフィス家具のネットオークションを手掛けるリステージでも、「出品数の減少があるなどコロナの影響も見受けられるが相場は安定している」という。

第487号(2020/5/10発行)10面

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