《皮革製品修復ラボ(40)》某ブランド「日本では修理が必要」

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《皮革製品修復ラボ(40)》某ブランド「日本では修理が必要」

2016年08月25日

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皮革製品 修復ラボLesson.40 革との付き合い方

修理+中古=ジャパンスタイル

ある有名ブランドの本国本社のアフターサービス部長の男性(フランス人) に、美靴工房はパリ本部で名前が登録されていると教えてもらった。

『ジャパン専門のビジネスパートナー』として認められたそうだ。

彼が言うには、フランスには自社内アトリエがあり、そこでお磨きやパーツ交換、縫い修理などを行う。しかしキズ消しや色補正などの見映えさせる作業を他業者に出すことは一切ないそうだ。向こうでは新作は新作として楽しみ、「エイジングされた商品はエイジングをそのまま使うべきである」という風に考えている。革の風合いを変えてしまったり、自然なエイジングでないものにフランスやそのブランドは価値を見出さないという見解なのだそう。

顔料をつかって元の状態に戻そうという文化はない。手入れをしながら、美しく年を重ねていくのだ。改めてそんな話を聞いた。

しかし日本は元に戻そうとする文化。キズや汚れを嫌い、若返ろうとする文化だ。それゆえに、日本ではブランド品の流通と共に修理が必要とされている。

だから「ますます精進してがんばってほしい」。彼はそう言った。

個人的には、革製品を相棒のようにしてつきあい、日に焼けたり傷ついたり汚れたりしたものを履歴として残し楽しむ価値観がいいと思う。

ただ、修理と中古が一体となったジャパンスタイルを確立することにも価値を感じている。

件の彼に私は、焼き物をプレゼントした。彼は「日本にも会津焼きや九谷焼など素晴らしい文化がある。目の当たりにして感動した。日本の技術力が素晴らしいと確信した」と言って、喜ぶと共に畏敬の念を表してくれた。

焼き物が壊れた時、例えば日本人は「金継ぎ」で修理する。割れや欠けの部分を漆で接着し、繕った部分を金で装飾していく手法だ。損なわれた箇所に手を入れることで、美しく価値ある趣に変えていく。

この精神性や手先の器用さは、誇れることかもしれない。

日本は、リユース店が主導してブランド品の流通を広げた。新品では高額で手が届かない商品の二次流通をつくることで、時計もバッグも財布も庶民の手に届くようにして定着させた。一次流通においても二次流通においてもブランド大国に育てた。そこに技術力の高い修理やメンテナンスが加われば、日本独特の流通ができあがる。

何度も繰り返すが、日本人はユーズドには寛容になったが状態に関してはシビアだ。そこで、私たちのような業者や業界が必要とされる。

器用でモノを大事にする日本人

日本には室町時代から陶磁器の修理法「金継ぎ」がある。割れを漆で接着し、継ぎ目に金や銀、白金などの粉をまいて飾る修理法。修理後の継ぎ目は「景色」と称し見て楽しむ。日本人は古くからモノを修理しながら大事に使っていると分かる。

川口 明人氏
≪筆者 Profile≫ 川口 明人氏

1960年、神奈川県生まれ。根っからの靴、バッグ好き。大学卒業後ヨーロッパに渡りフランスのシューズブランドに就職。帰国後は婦人靴ブランドのマネージャー、ブランドバッグ販売責任者、婦人靴メーカー商品企画・製造責任者などを歴任。皮革製品修復の「美靴工房」立ち上げに参画。現在は同社の専務取締役として女性修復師チームを率い数多くのメゾンブランドから指名を受ける。メディアにも度々取上げられており、質店・ブランドリサイクル店にとっては駆け込み寺的存在。

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368号(2016/08/25発行)5面

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