【Reuse×Tech Conference セミナーレポート】 リユースマーケの現状を分析 今必要なCRMの捉え方とは_NOVASTO
2024年11月21日
リユース業界最大級イベント「Reuse×Tech Conference for 2025」が10月2日・3日の2日間、東京・日本橋で開催された。10月2日D会場ではリユース業向けにクラウドPOSを展開するNOVASTO(大阪府吹田市)の佐藤秀平代表と、同社のマーケティングアドバイザー、藤井和也氏が登壇。リユース業界におけるCRMマーケティングの現状と対策について話を繰り広げた。
未利用ユーザーへの働きかけの重要性
セミナー冒頭では、CRMマーケティングの必要性を提示した。リユース業界の拡大によって新規出店が増える昨今だが、新規顧客獲得の難しさや、既存顧客への販促不足といった課題を抱えている。そうした状況や、今後市場成長が止まった場合に必要になる施策として「リユース利用促進」と「CRMマーケティング」を挙げた。
リユース利用促進とは「リユースを使ったことがない」層や「リユースを使いたくない」という層、つまりリユースの経験がない人に利用を促すことだ。コメ兵が行った調査では、リユース品に拒否感を持つユーザーが3割弱いることが分かった。特に買取りのハードルは高く、買取り・販売の両方を利用したことがある層は1〜2割程度にとどまる。このような状況から、現状リユースの選択肢がない、未利用ユーザーへの働きかけを行う必要性が指摘された。
また利用促進の事例として、ゲオHDが行ったネスレ日本とのコラボキャンペーンや、ブックオフGHDの「学校ブックオフ」プロジェクト、コメ兵が渋谷に展開している「KOMEHYO SHIBUYA」等を紹介。いずれも小学生やZ世代など、リユース未利用ユーザーへのアプローチとして有効であると解説した。
CRMマーケティングの肝となる「ファンづくり」
次に挙げられたのは、CRMマーケティングについて。藤井氏はこれを「ファン作り」であると端的に表現。またリユース業において「商品・カテゴリ軸でのファン作り」と「企業・お店・ブランドに対するファン作り」があると分類した。
前者は、商品軸でリユース店を選ぶ客層を指す。ここではお客の中で欲しい商品そのものや年代、ブランドが決まっているケースが多く、実のところCRMマーケティングとしての介入が難しい。一方で、そうしたリユース品の特徴を逆手にとり、カテゴリーやブランドの特化店を目指すことで、集客につながると説明した。
後者の「企業・お店・ブランドに対するファン作り」では、屋号そのもののファンになってもらうことが重要となる。「このお店で買いたい」という、モノ以外の価値をいかに生み出せるか。これまでリユースの本質とされてきた「安く買ったものをいかに高く・早く売るか」を見直し、企業・店舗・人に魅力を感じてもらう取り組みが必要だと解説した。
スタッフが顧客と向き合う姿勢を作る
講演の後半では、リユース業者が行うべき行動変容についても触れられた。まず初めに必要なのが「今を知る」こと、つまり現在の買取客・販売客の行動把握を行うことだ。指標で言うところのLTV、RFM、買取・販売併用顧客割合となる。「ここで大切なのは、どのレイヤーのスタッフが、どのような頻度で顧客情報を見ているのか、あるいは、見ようとしないと見れない状況になっていないかだ」と佐藤氏は続ける。
また次の段階として必要なのが「コミュニケーション推進」だ。これは、ファンになり得る優良顧客を見極め、SMSやメール、LINE、アプリ、DM等でコミュニケーションを取り、そこで得た情報からノウハウを蓄積、ターゲット顧客の調整等につなげることを意味する。コミュニケーションから情報整理、改善までのPDCAサイクルをいかに早く回すかが、CRMマーケティングのキーになるとした。
さらに藤井氏は「初めて買取り・購入するユーザーへのアンケートは有効」と補足。レジ作業中に店頭スタッフがヒアリングを行ったり、優良顧客への個別インタビューを実施するなど、あらゆる手法で「なぜ自店を使ってくれているのか」を明確にすることが重要だと語った。佐藤氏は、全顧客の家族構成や商談時の話題、ヒアリング内容等をシステムに記録している企業を例に挙げ、「記録そのものも重要だが、仕組みづくりによってスタッフがお客に向き合う姿勢を作ることが大切」と続けた。
加えて、EC販売の際に会員登録を求めることの必然性や、個人情報活用への許諾取得に対して、認識を深める必要性も指摘された。こうした各ポイントを押さえることが、CRMマーケティング実行の推進力になると言える。「宝の山」と言える顧客データを捉え直し、実行を重ねる重要性を確かめて、セミナーは終了した。
WEB限定記事