たんす屋、毎月ロット商品の価格を値下げ「ダンダンセール」スタート

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たんす屋、毎月ロット商品の価格を値下げ「ダンダンセール」スタート

2020年01月07日

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着物リサイクル春夏秋冬
第232回 ダンダンセールスタート

中古着物を販売するたんす屋社長の中村健一氏が、自社の取り組みなどから中古着物業界について切る、本紙連載企画「着物春夏秋冬」中村健一 社長東京山喜 (店名・たんす屋) 中村 健一 社長

1954年9月京都生まれ。77年 カリフォルニア州立大学ロングビーチ校留学、79年 慶応義塾大学卒業。同年東京山喜入社、87年 取締役京都支店長、91年 常務、93年 社長に就任、今に至る。

ロット商品が倉庫に多く滞留
スリープライスを毎月下げて販売

12月1日から、たんす屋の店頭で「ダンダンセール」を開始した。このセールは商品部長の海老澤の発案で、社内で検討した結果実施することになった。

単品管理商品とロット商品

たんす屋の商材には、販売価格が8000円以上の単品管理商品と、8000円未満のロット商品がある。単品管理商品は、入荷年月が明記されていてバーコードを読み取るとその商品の履歴を見ることができる。一方、ロット商品は一点毎の管理履歴はなく、価格と数量で管理している。和装小物は別にして、着物や帯のロット商品の価格帯は、ほぼ1000円、3000円、5000円のスリープライスに集中している。

全社的に見て近年このロット商品の動きが鈍くなって、新潟県十日町の倉庫に相当なボリュームで滞留していた様である。たんす屋では本部や店舗で買取った商品は、一旦全て十日町の加工センターに送って、必ず丸洗い、殺菌、抗菌、消臭加工を施し、プレスをして検針をした後に価格を付ける。

単品管理商品は、東京の本部に送られて、そこで各店舗の店長が色柄を見て、一点一点選品をする様になっている。一方でロット商品は、店舗からのリクエストに応えてケース単位で直接店舗に送られる。店舗からのリクエストは「5000円の小紋を、派手めをメインに1ケース」とか、「3000円の名古屋帯を派手・地味バランスよく1ケース」といった具合である。1ケースには大体20点の着物や帯が入いる。

たんす屋にとって、このロット商品こそがお買い上げ客数を増やし、新規客を呼び込む武器である。しかし、単品管理商品の様に入荷履歴が明記されていない為に、値下げ基準が曖昧で店舗で売れ残ったロット商品が十日町の倉庫や本部に返品されることが頻発していた。昨今の物流コストの上昇を考えると、ロット商品を売れ残ったといった理由で移動していたのでは、非常に非効率で利益を圧迫しかねない。

そこでロット商品の中でも、点数が多く回転が悪い8アイテムを対象に「ダンダンセール」を企画した。対象となる8アイテムは、点数が多い順に名古屋帯、小紋、紬、単衣紬、訪問着、留袖、単衣小紋、大島紬である。

「ダンダンセール」は、毎月ロット商品の価格を値下げしていくセールである。12月は5000円に緑のシール、3000円に黄色のシール、1000円に赤のシールを貼り、各店舗にこれらのロット商品を約200点投入する。そして翌月1月には、5000円のロット商品を3000円に、3000円のロット商品を1000円に値下げする。

詰め放題でハギレをさばく

そして1000円のロット商品は、店舗で解体してハギレにする。着物解体マニュアルに沿って解体すると、1枚の着物から27枚のハギレができる。それを店頭で100円で売っていくのである。100円のハギレは、着物を着ることのないお客様にもクラフトの素材として人気だ。

更に、毎月の着物クリニックの折には100円ハギレの詰め放題セールを併催するようにした。100均のダイソーで売っているジッパー付きネットに、ハギレを詰め込めば20枚程度入る大きさのものを用意しておき、1000円でハギレの詰め放題を企画した。実質的には、ハギレの50%オフだが、詰め放題の方が多くハギレがさばける。そして、移転や店舗閉店に伴う売り尽くしセールでは、毎月の値下げペースを毎週に加速して短期間で回転を上げていく予定である。

この「ダンダンセール」のメリットは、ポスターで、シールの色と価格を説明しておけば、いちいちプライスカードを変更する必要がないことである。そして何より、この「ダンダンセール」を現場で徹底できれば、すべてのロット商品は、十日町の加工センターから店舗に片道配送で売り切ることができるので、無駄な運賃を支払う必要がなくなる。

ポスターでシールの色と価格を説明ポスターでシールの色と価格を説明

あとは、この低価格の着物がどの様なお客様に喜んでいただけるかが大きな問題である。当然ながら、ロット品の着物は綺麗に丸洗いしてあるが、まず例外なく何処かしらに瑕疵がある。全く瑕疵がない場合には、8000円以上の単品管理商品になる。更に寸法が小さめのものがほとんどである。従来は着付け教室で習い始めた方が練習用に買っていかれることがよくあった。

外国人に羽織が大人気

ロット商品の中でも、実は羽織は大人気で高回転である。その用途は主に訪日外国人に「Haori jacket」として洋服の上に羽織ってもらっている。価格帯は主に1000円、3000円、5000円である。ネット上では、「Kimono gown」で外国人が洋服の上に着物を羽織っている写真があまた見られる。

ロット商品の「ダンダンセール」が「Haori jacket」に次ぐヒット商品「Kimono gown」のブームに火をつけてくれることを期待しているが、いかがだろうか。

第478号(2019/12/25発行)16面

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